VOL.2
BEST HIT HINDUSTANI MUSIC
［2018.05.04／CD紹介］
ベストヒット☆インド音楽
「ラブユー♡師匠」新井孝弘の選ぶベスト5
インド古典音楽を極めるべく、日本を離れ、ひとりムンバイで日夜研鑽に励むサントゥール奏者・新井孝弘。インドの人間国宝シヴ・クマール・シャルマ師が好きすぎる！師匠のライブ録音からの名盤5枚をセレクト。
”師匠の音源はオーガナイザーやファンが
録音したものも多くあります。”
- [Rajanigandha]
Pt. Shiv Kumar Sharma / Santoor Anindo Chatterjee / Tabla
- ユザーンに借りたこのCDがきっかけで
長年叩いていたドラムをやめてしまった…。 - ドラマーだったが、バンドが仲間割れして活動中止に。バチで叩けるメロディ楽器を探しに、バリ島まで行っていた頃に、親友がいつのまにかユザーンの生徒になっていた。彼がユザーンから借りたこのCDを聴いてサントゥールをやることを決意した衝撃の1枚！伴奏はユザーンの師匠であるオニンドダー。
- [THE HEAVENLY SOUND OF SANTOOR]
Pt. Shiv Kumar Sharma / Santoor Ud. Zakir Hussain / Tabla
- こんなすげえ人に出会っちゃった
らもう仕事を辞めるしかなくない？？？ - 初めて渡印したとき幸運にもシヴ・クマール・シャルマ師に教えていただけることに。帰国後、たくさん買ってきたCDを聞いていたら、なにこれ！と10分間放心。Jaitaalという13拍子。難しさを感じさせずスッとPOPに曲が心に入ってくる。こんなすごい音楽やってる方に出会ってしまったら、もう仕事辞めてインド行くしかないっしょ！とまさに人生を変えた1枚。1972年シヴジーがザキールジーと初めてRECした歴史的名盤！
- [REAL TOGETHERNESS]
Pt. Shiv Kumar Sharma / Santoor Ud.Zakir Hussain / Tabla
- なんてこった！インドに住んでから、
このヤヴァさに気づいてしまった…。 - シヴジーが50代、ザキールジーが40代の時のライブ盤。もう気が狂っているとしか思えない大傑作。注目して欲しいのはラーガ Hamsadhvani 11拍子～のシタールカーニーへと曲が展開する中、テレパシーかっ！と思うくらい伴奏がシンクロしていること。シヴジーに話を聞こうとしたら「オレは持ってないから焼いて持ってこい！」と言われた1枚。シヴジーもお気に入りの演奏。
- [Nocturne Fragrance]
Pt. Shiv Kumar Sharma / Santoor Ud.Zakir Hussain / Tabla
- このラヤカリを聴いてくれ！
このふたり、まったくCRAZYだぜ！ - インド音楽って、師匠の音楽っていったいなんなんだろ？と考え始めた頃にこの曲を聴いて驚いた。Matt taalという9拍子のリズムの中に、なんと8拍子が！拍子を無くすという意味の「ラヤカリ」は決まった拍子の中に、突然違う拍子のリズムが入ってくるトリッキーな奏法。なのにちゃんと曲として美しいし、ザキールジーの伴奏がシンプルにかっこいい。こんな高度な演奏も「天から降ってくる」と軽々言っちゃう師匠にも驚かされる1枚。
- [An Exquisite Raag in a Live Concert]
Pt. Shiv Kumar Sharma / Santoor Ud.Zakir Hussain / Tabla
- 封印していたリズムが繰り出される！
これを聴いたら、もう日本には戻れないっ。 - Rasik Priyaという南インドのラーガ。音階がまず不思議。
そしてサントゥールではあまり演奏されないVillanbit Teentaal！後発の楽器であるサントゥールが、独自のスタイルを作るため一般的に演奏される「ゆっくりな16拍子」を封印し、7，9，10拍子などでスタイルを確立したが、この演奏ではまさかの16拍子！そして随所に「ラヤカリ」が！16拍子の中に12拍子。リズムが高度なのにすべてが美しいメロディになってしまう…これを知ったらもう後戻りできない1枚。1994年ドイツのレーベル盤なので音質もGOOD！
- 注）ジーやダーはインドの敬称。シブジー、ザキールジー、オニンドダーのように名前の後につけて尊敬を表現。
- 注）Pt.=pandit［パンティッド］インドの賢者につける敬称。～師
- Ut.=Ustad［ウスタッド］イスラム教において師匠、専門家、宣教師など、イスラム教社会の人たちにとって非常に重要な人物につける敬称。スター的存在。
