VOL.3IconBEST HIT HINDUSTANI MUSIC
[2018.05.04/CD紹介]
ベストヒット☆インド音楽
「僕のタブラスター」ユザーンの選ぶベスト5

インド古典音楽と現代の音楽を股にかけ、さらなるタブラの高みを目指すユザーン。「スター達の演奏は、いつ何度聴いてもトキメキと発見と学びがある」と教えてくれたユザーンが選ぶタブラの巨匠たちの名演奏。

”タブラを始めた頃は、インド音楽は現地に行ってコンサートを観たりインドでCDを買ったりしなければ体験できないものでした”

ENERGY ZAKIR
[ENERGY ZAKIR]
Ud. Zakir Hussain / Tabla
この1枚からすべてを学んだ。
擦り切れるほど聴き込んだ貴重なライブ盤。
冒頭20分に渡る、美しくさざ波のように展開するペシュカールが印象的です。ザキール先生によるフル・コンサートサイズのタブララハラ音源は、90年代にはこの1枚しかリリースされていなかったこともあり、本当に擦り切れるほど聞きました。構成の仕方、ダイナミクスの付け方など、すべてをこの一枚から学んだ気がします。演奏に占める即興的な部分の割り合いが最も高いプレイヤーなので、彼のソロは何度見ても新鮮に楽しめますよ。ぜひインドまで聞きに行ってみてください。
Anindo and His Tabla
[Anindo and His Tabla]
Pt. Anindo Chatterjee / Tabla
8.5拍子ってなんなんだっ?オニンドダーの
広い見識とテクニックに、まさに脱帽!
Nasruk、Ektal、8.5Beats、Palvh、Dhammar、Pancham Sawari、Teentalという計7個の拍子がCD2枚組に分けて収録されています。すごいボリュームですね。タブラのフィンガリングではなくパカーワジのボルにこだわって演奏されているDhammar、インドでもなかなか演奏されることのない8.5拍子などが聞きどころです。各曲の後半に演奏されているガットやチャッカルダーの豊富なバラエティは、タブラ界の生き字引とも言われるオニンド先生ならではのものですね。
DRUMS OF INDIA
[DRUMS OF INDIA]
Ud. Ahmed Jaan Thirakwa / Tabla
ティラクワの登場でタブラの歴史は変わった!
彼を見習い、僕ももっと練習していたいっ!
近代タブラの祖であるウスタッド・アーメド・ジャン・ティラクワの、公式にリリースされた数少ない音源のうちのひとつです。とにかく猛烈に練習をしていたらしく、人生のほとんどの時間をタブラの前で過ごしたと聞きました。手元に楽器がないときに、自分の頭を叩いて練習している動画も見たことがありますね。そんなにタブラばかり叩いていてもティラクワさんは90過ぎまでご存命だったので、もしかしたらタブラは体にいいのかもしれません。
Shared Moments
[Shared Moments]
Ud. Alla Rakha & Ud. Zakir Hussain / Tabla
興奮の連続!右にアララカ!左にザキールジー!
どこまでもシンクロする驚きのタブラデュオ!
ザキール・フセイン先生と、その父にして師匠であるウスタッド・アララカのデュオアルバムです。複数のタブラ奏者でタブララハラを演奏しているのは、音源が残っている限りでは彼らが初めてなんじゃないでしょうか。このアルバムでは右チャンネルが父アララカ、左チャンネルに息子ザキールと、やけにはっきりとステレオ化されているので親子の音の違いを楽しめると思います。終盤に出てくる息の合った掛け合いも、とてもエキサイティングです。
Rhythms of India
[Rhythms of India]
Ud. Afaq Hussain Khan / Tabla
オニンドダーの最初の師匠アファク。
誰もが涙する美しくメロディックなレイラ!
ラクナウ流派の巨匠、ウスタッド・アファク・フセイン・カーンはオニンド先生の最初の師匠です。彼の演奏の特長は、なんといっても流麗なレイラですね。チャンダの雰囲気をそのまま残しながらスムーズにレイラへ移行する、お手本のような展開は何度聞いてもつい歓声を上げてしまいます。オニンド先生は後にパンディット・ギャン・プラカシュ・ゴーシュに師事しましたが、演奏スタイルはやはりアファク・フセインの影響を色濃く受けていると思います。
  • 注)ジーやダーはインドの敬称。シブジー、ザキールジー、オニンドダーのように名前の後につけて尊敬を表現。
  • 注)Pt.=pandit[パンティッド]インドの賢者につける敬称。~師
  • Ut.=Ustad[ウスタッド]イスラム教において師匠、専門家、宣教師など、イスラム教社会の人たちにとって非常に重要な人物につける敬称。スター的存在。